『ATO-NO-MATSURI』

『ATO-NO-MATSURI』

ふとみかけた祭り。

提灯。

屋台。

浴衣姿の人たち。

子どもの頃なら、
それだけでワクワクしたはずなのに。

一人で祭りの中を歩くと、
どこか自分だけが部外者のように感じる。

祭りが変わったのか。

自分が変わったのか。

おそらく後者なんだろう。

そのまま祭りを通り抜けた。

そして深夜。

帰宅する頃には、
祭りはもう終わっていた。

さっきまで人で溢れていた場所に、
もう人はいない。

灯りは消え、
屋台も店じまい。

昼間の賑わいが嘘だったように、
静まり返っている。

不思議な安心感。

祭りの後。

終わったはずなのに、
そこには確かに、
さっきまでの賑わいの痕跡がある。

何も起きていない静けさと、
何かが起きた後の静けさ。

「後の祭り」

終わってから悔やんでも遅い。

「祭りの後」

終わった後に、
余韻が残る。

同じ「終わった後」なのに、
ずいぶん違う。

非日常は、
いつまでも続かない。

祭りも。
旅行も。
楽しい時間も。

やがて終わって、
いつもの日常に戻っていく。

でも、
すべてが元通りになるわけじゃない。

祭りの後には、
祭りを知った静けさが残る。

終わったから、
何もなくなるわけじゃない。

むしろ、
終わってから見えてくるものもある。

後の祭り。

祭りの後。

同じ夜なのに、
俺は後者の方が好きらしい。