『仮面』

『仮面』

表の顔。

裏の顔。

人には、
二つの顔があると言われる。

でも、
本当に二つだけなんだろうか。

仕事で見せる顔。

友人といるときの顔。

家族の前での顔。

初対面の人に見せる顔。

そして、
誰にも見せない顔。

表と裏だけでは、
どうにも説明がつかない。

今この人と話している自分は、
どの顔なんだろう。

表なのか。

裏なのか。

それとも、
横顔なのか。

たまに分からなくなる。

「本当の自分を出した方がいい」

でも、
本当の自分ってなんだろう。

仮面を一枚ずつ外していけば、
最後に素顔が現れるのか。

案外、
何も残らないのかもしれない。

人によって顔が変わることは、
必ずしも嘘じゃない。

その人といるから現れる自分も、
確かに自分だ。

だとすれば、
仮面は自分を隠すためだけのものじゃない。

自分でも知らなかった顔を、
映し出すものでもある。

本当の自分なんて、
最初から一人には決まっていない。

そう思っている自分が、
また一つの仮面なのかもしれない。