本棚を眺めていて久しぶりに手に取った本がありました。
思い返すと、この本のおかげで(せいで)、自分の心の深い部分で共鳴して何かを決定的に変えてしまうような、その後には世界が違って見えてくるような体験に見舞われたなと思います。
『モーターサイクルダイアリーズ』は、後にキューバ革命の指導者として知られることになる、当時は若き医学生だったエルネスト・チェ・ゲバラが、親友アルベルトと共に、一台のポンコツバイクで南米大陸を横断する紀行記です。
貧困や不平等を目の当たりにする旅の中で、一介の医学生にすぎなかったエルネストの中に、後に「革命家ゲバラ」と呼ばれることになる何かが、静かに芽生えていく過程が、彼自身の手で描かれています。
最初は確か友人の家で映画で観て感銘を受けて、すぐに本でも読みました。
バイクで南米縦断する冒険自体にももちろんワクワクしましたが、何より旅の中でゲバラが見たもの、それを通して彼自身の中で起きていく変化に心を打たれました。
当時の南米は、多くの国が冷戦の影響下で軍事政権や独裁的な体制のもとにあり、道端で物乞いをする子ども、薬も満足に手に入らない村、そんな光景があちこちにあったようです。
そうした搾取や貧困のありのままの現実を旅の中で実際に目にする中で、ただの医学生だったゲバラの中で、人々の痛みに対する共感と慈しみと義憤が募っていきます。
少年のような天真爛漫さは生涯持ち続けながら、人々に寄り添う優しさと、搾取と暴力に断固として立ち向かう強さに、ものすごく憧れを持ちました。
色々な毀誉褒貶のある人ですが、一人のカリスマとしてやはり本当に魅力的な人物だと思います。
やはり今でも憧れの人だなと今回これを書きながら改めて思いました。
今振り返ってみると、実際にキューバ旅行に行ったり、バックパッカー世界一周旅をしたりしたのも、原点の一つはこの本にあったかもしれません。
FIRST CLASS
佐伯 渉(さえき わたる)