今週も一週間お疲れ様でした。
金曜日の夜中に、どこか幻想みのある日常小説を紹介します。
大好きな小説家、吉田篤弘さんの作品です。

『屋根裏のチェリー』は、都会のはずれの崖の上にある古いアパートの屋根裏でひっそり暮らす、元オーケストラのオーボエ奏者サユリの物語です。
彼女の唯一の友だちは、頭の中にいる小さな存在「チェリー」で、外の世界へ踏み出せずにいる彼女の背中を押します。
物語の中心にいるのは、気分を落として屋根裏にこもるサユリです。
彼女は音楽への思いを抱えながら、日常のなかで少しずつ人や出来事とつながっていきます。
この作品の魅力は、小さな存在たちが大きな世界を動かすような、静かであたたかい感覚にあります。
心の中の対話や、食べ物・音楽・街の気配のような細部が物語をやさしく支えているのに、少し幻想的な感じがするのが印象的です。
お仕事や悩みが多くて疲れたときに、こんな本を読みながら眠りにつくのもいいかもしれません。
FIRST CLASS
手塚 祥吾(てづか しょうご)