大学院時代のバックパッカー世界一周旅その4。
太平洋を越えて、中南米の上空を越えて、24時間以上かけてエクアドルの首都キトに降り立ちました。
ろくに一人旅もしたことのない人間が、よくこんな無鉄砲な旅に出たものです。
無知と無鉄砲は何をしでかすものか分からぬ。
入国審査と税関を抜けて、市街地行きのバスを探しました。
言い忘れましたが、僕の体感では南米はマジで英語が通じません。
生き延びるには、スペイン語を喋るしかありませんでした。
空港職員のお兄さんに「俺はキトの○○地区の○○ってとこに行きたいんや!」と、カタコトでまくしたてます。
返事のなかで辛うじて聞き取れたのは、「緑(verde)」という単語だけでした。
つまり、緑色のバスに乗ればいい、というところまではギリギリ理解できたわけです。
なんとかバスに乗り込んで、ダウンタウンへ向けて出発しました。
ほとんどの言葉が分からなくても、必要な一語だけは不思議と耳に入ってくるものです。
人間の語学習得を助けるのは、何より修羅場とアドレナリンなのだと、身をもって知った日でした。
FIRST CLASS
佐伯 渉(さえき わたる)