『再会』

『再会』

飲食店で、
料理を待っていた。

ふと目に入った、
野菜の生産地。

「○○FARM」

最初は素通りだった。

でも、
なぜかもう一度目に入る。

ん?
どこかで聞いた名前だ。

もう一度見る。

いや、
まさかな。

……間違いない。

それは、
大学時代の同級生が拓いた農場の名前だった。

卒業してから、
一度も会っていない。

それなのに、
約15年という時を経て、
彼が育てた野菜が目の前にある。

本人には会っていない。

声も聞いていない。

でも、
彼が土に触れ、
時間をかけて育てたものだけが、
先にこちらへやってきた。

なんとも不思議な再会だ。

一口食べる。

「この野菜から、彼の人生を感じる。」

……と言えるほどの
特殊能力は残念ながら無い。

ただ、
大学を卒業して、
それぞれ別の道を歩いてきた。

その先で作られたものと、
偶然こんな場所で交わる。

それだけで、
少し嬉しかった。

再会とは、
必ずしも人間同士とは限らないらしい。

こだわりと信念を持って、
彼は今日も「聖地」で野菜を育てている。

野菜を食べただけで、
彼の人生を知ったつもりにはなれない。

でも、
その続きを少しだけ味わった気がした。

勝手ながら、
彼のこれからを、
静かに応援していたい。