静かな余韻が味わえる本

静かな余韻が味わえる本

実家の家族のことを想いながら読んだ本を紹介します。
とっても澄んだ文章で書かれた短い本です。

吉本ばななさんの『キッチン』は、深い喪失を抱えた人が、日常のささやかなぬくもりの中で少しずつ立ち直っていく物語です。

大きな事件で引っ張る小説ではなく、静かな時間の流れの中にある孤独ややさしさ、そして生きることの手触りが、澄んだ文章で丁寧に描かれています。

魅力は、重いテーマを扱いながらも、読後に暗さだけが残らないところです。
台所という場所に象徴されるような「暮らしのあたたかさ」が、失ったものの大きさと同じくらい強く響いてきて、読んでいるうちに心がやわらかく整っていくような感覚があります。

派手な展開よりも、静かな余韻や言葉の美しさを味わいたい人に、とてもよく合う作品です。

読んだことのある方や、手にとって少し読んでみた方、ぜひ感想など教えてくれたら嬉しいです。

FIRST CLASS
手塚 祥吾(てづか しょうご)