人は、
本当に大切なものの前では、
少しだけ言葉が減る。
自信がないからでも、
怖がっているからでもない。
ただ、軽々しく触れてはいけないと
どこかで分かっているからだ。
時間が経つほど、
年齢を重ねるごとに、
世界には簡単に扱えないものが
確かに存在していると知る。
いや、
簡単には扱えないと思ってしまう。
人の心。
信頼。
誰かの人生に関わるということ。
本気で向き合おうとすると、
背筋が自然と正される。
その感覚は、
「畏れ」なのか。
大切にしたいと思う気持ちの裏側に、
自然と「畏れ」は生まれる。
何も感じなくなったとき、
人は乱暴になる。
慣れすぎた瞬間に、
優しさは形だけになる。
だからこそ、
少しの畏れを持ち続けたい。
人に触れるときも、
言葉を渡すときも、
目の前の時間に向き合うときも。
慣れない。
当たり前にしない。
畏れがある限り、
関係は磨耗しない。
そしてきっと、
何かを支配するのではなく、
畏れを手放さない人だけが、
強さというものに近づいていく。