『以心』

『以心』

言葉は、届いている。

字幕を追えば、意味も分かる。

でも、動かない。

理解しているのに、
琴線に触れない。

あのときも同じだった。
会話はなんとか成立しているのに、
何かが通らない。

言葉の問題じゃなかったはず。
むしろ、
言葉を越えたところで詰まっている。

以心伝心。

心はどこで通じ合うのか。
同じ景色を見て、
同じ空気を吸ってきた者同士だけの
前提なのか。

意味は運べる。
温度は運べない。

言ったかどうかじゃない。
「伝わった」かどうか。

言葉か、文化か。

以心は、
国境を越えるものなのか。
それとも、
最初から閉じているものなのか。
まだ分からない。

ただ、
動かないときの静けさには、
噓がなかった。