『桜chill』

『桜chill』

満開の時期が過ぎると、
人の流れは一気に引いていく。

あれだけ賑わっていた場所も、
いつのまにか静けさを取り戻す。

花見という言葉は、
どこへやら。

でも、
桜はまだそこにある。

風に触れて、
ひとひらずつ散っていく花びら。
地面に落ちて、
静かに景色の一部になっていく色。

その時間は、
決して派手じゃない。
ほとんど、誰にも見向きされない。

満開は確かに美しい。

でも、
すべてが開ききったあとに訪れる、
あの緩やかな終わり方にこそ、
どこか惹かれるものがある。

最盛期は、あまりに一瞬で、
気づけば通り過ぎていく。

人が離れたあとの静けさの中で、
落ち着いて見られる景色がそこにある。

花びらが散ったあとの残像。
それが、chillなのかもしれない。