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お店の仕組みやルールは様々だけれど
全てがキャストの裁量次第になるのなら
ユーザーである女性にとってそれは
その辺の一般男性と会うのと変わらない。
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この業界でお店を出す人が、普段言葉にしなくても、根底で絶対理解しておく必要があることを書きました。
店が店である意味、このサービスの仕組みの根源はなんなのか。
「俺なら無料でしてあげるのにおじさん」を討伐する読み物として、読んでいただけたらと思います。
※働く人の呼称は、セラピストやプレイヤーなどお店によりますが、ここでは「キャスト」と統一、利用者お客様の呼称は「ユーザー」としました。
一般世の中にだって、かっこいい人も、気遣いできる人も、テクニックのある人も、いる。
いくつも兼ね備えている人もいるし、そういう人がアプローチしてくる機会だって普段からあるという女性は全く珍しくない。
お金を払わなくても、むしろもてなされて、楽しい思いをすることはできるかもしれない。
それでも一部の人が女風店を使う意味のひとつには、第三者(店)が仕事として成り立ってるかを監視している構造が、利用者であるユーザーにとって安心して利用できる理由になると考えられるからというのがある。
もちろんそれが機能していないと意味がない。
ユーザー側の「(問題があって)店に言っても意味がない」という声もよくXで目にする。
この業界の大きな課題である。
綺麗事で理想を語ることはいくらでもできるが、この監視抑止力機能を正常に働かせることは実際とても難しい。
問題のあったキャストを罰する以前に、ルール内で動いた方がメリットがあるという状況をつくり、キャストにそのメリットと、それが自分を守ることになる、結果その方が稼げるということを理解してもらう必要がある。
そもそも知能が低く考える力が弱かったり、自分だけが良ければいいという考えの人、お金に困りすぎていて目先のお金に必死な人にこれを理解させるのは難しい。
そのため、理屈で伝えるだけではなく、キャストと店との契約においてルール違反に対する損害賠償支払などを組み込み抑止力にする場合もある。
ユーザー側にも利用ルールを守るメリットを理解していただく必要がある。
ルール違反から問題に発展する場合、キャストから仕掛けるものだけでなく、お客様からの誘い、というのもよくあるからである。
サービス良くてカッコよくて、みんなから人気でという人、信念も接客信条もしっかりある人でも、いい時はいいけど、関係が悪くなったときにどうなるか、ということまで希望的観測ではなく理解していて欲しい。
関係が悪くなるというのは、お互いの要望希望が思うように通らなくなったとき、である。
この人だから大丈夫ではなく、誰であってもそういう日は来うると考えるのが良い。
ユーザー側の思う「前は◯◯してくれたのに」「こうするって言ってくれてたのに」は、それが禁止事項であったとしたら、それはお店はいずれ歪みがでる事柄だと知っているから前もって禁止している、というものである。
キャスト側は「ルール外でリスクを負っておまけしてあげてるんだから」と自分の裁量で何をどれだけするのか決めるようになる。
基本のサービスというものがお店である程度決まっているのも、この歪みを防ぐためである。
お客様から「不要」とか「変えて欲しい」とのご要望でない限りは、最低限この内容はさせていただきますよ、というものがなければ、キャスト側が自分に都合の良い解釈をしたことにして、ユーザー側は想定したサービスを受けられないということになりやすい。
そうなった時にユーザーが不本意であることを言える先が店であり、なにかおかしなことをすれば、店に言われる可能性があり、それは自分の評判や働きやすさや収入に影響すると、キャストに一定の緊張感を与える仕組みは重要である。
そのキャストの裁量で全てを自由にできて、自由な理由付け、自由な発信をされてしまうのでは、ユーザーにとってとても傷付く結果になることが想像に難くない。
逆に働くキャストも、お店がルールをつくり、その枠にお客様に入っていただくことで、仕事として成り立つ範囲を超えた要求や関係に、大きく水を差すことなくブレーキをかけさせることができる。
「このような接客サービスを利用するときのマナー」というふんわりした暗黙の了解を理解しているユーザーばかりではないし、理解して欲しい事柄は店の方針によって違う。
だから利用規約があるし、どこの業界でも本音と称して利用ルールを発信するサービス提供者がいて「本当なのかな?」と注目を集めていてる。
また、わからないフリや知らないフリをしてあわよくば自分だけ少しいい思いをしたい、という人もいる。
とくにルールが頭に入っていない新人に対してはこのような行動をとるというユーザーも一定数いる。
そんな時に「ごめんね、こういうルールなんだよね」「それは禁止されてるんだよね」とお店のせいにできる、ということは仕事としてこのサービスを成り立たたせ、継続させるための最重要事項のひとつある。
知らなかったにせよ、あわよくばだったにせよ、この言い方であれば、相手を否定せず、「僕がそれ、嫌なんだよね」と棘のある言い方をせず、ユーザーに軌道修正を促すことができる。
それでも軌道修正されない場合は、すでにどこかで他のキャストやユーザーに迷惑がかかりはじめているので、お店としては利用規約に基づき利用を控えてもらう判断をすることになるだろう。
また、キャラクターやブランディング上、ハッキリ言うというキャストもいるが、関係性を壊す恐れのある言葉を伝えるのは言う方もストレスがかかるし、受け取られ方によっては、想定と別の傷付き方をされたり、批判される恐れもあるので、それが容易にできるキャストは多くない。
このサービスの基本がキャストはお客様に好意的な振る舞いをすることがベースになる以上、「それなら◯◯してもらえるよね」とユーザーは思いやすく「あなたの好意的な態度の証明や裏付け」をキャストがルールを超えること破ること求められると、ビジネスとして成立しなくなる。
逆にそれを好意の証明として、利用するキャストもいる。
「禁止行為や時間外でのサービスをあたなだけに特別にしているんだから、僕の気持ちは本物だよ」という説得の意味を持つ。
悩んで理屈で考え込んでしまいやすいタイプだと、その理屈が通っていると思い、半信半疑ながらも次の証明を求めてコンタクトを取り続けてしまう。
お店の方針やルールはというのは、プライベートで個人で双方に自由な裁量があり、最初は「お互い利害一致だよね」と会っていても、いつか出てくるであろう問題やどちらかが大きな負担に感じたり傷ついたりするような、持続可能でなくなる要素を、うまくルールや禁止事項にしたりコースや料金の仕組みにしたりして、持続可能にするものである。
そうすることによって、ユーザー側は無駄に傷ついたり恥ずかしい思いをすることなく、周りに知られることなく、自分の人生に自由にスパイスを与えられる選択肢が、このサービスである。
これは細かくルールを決めた方がいいという話ではない。
それはお店によるし、コミュニケーションを重視したサービスである時以上、ある程度のキャストの裁量や余白は必要で、決められたことを決められた通りにしかなされないのであれば、ユーザー側もつまらない。
キャストの自発的な言動がなにもなければ、わざわざお金を払う意味もない。
ある範囲の中で、リスクをとって弱みを握り合わなくても、ユーザーとキャストがお互いに安心感と刺激をもって会い続けられるために、どちらかが大きく割を食うという状態がないようにするために、お店という存在がある。
ユーザーもキャストも、リスクに晒されることは、それぞれ一生の傷を負う可能性を持つ。
それでも、安全になされる前提でこのサービスを必要としている人がいるから、世の中に徐々に広まってきている。
ユーザーもキャストも、このサービスが人生に必要という人がいる。
楽しめたスパイスになった、便利でニーズに合っててちょうどいい、という人もいれば、救われた、あの時これがなければどうなっていたか、という人もいる。
無法地帯になれば、希望を持って信じて身を委ねた人が、不本意に苦しむことになる。
双方の安全を保ち続けるために、この構造が大事であるから、それを理解している人は、経営側もお店というシステムはいずれなくなってくとは考えていない。
ただ、この監視抑止力構造がないお店も存在する。
だからもはやお店なら安心というわけではない。
風営法の届出を出して、お店の形をとる、という方法が知れ渡るようになり、以前より店を出すのは容易になった。
これからもっと増えていくだろう。
そうなっていく業界に対して、我々はどう動くことができるのか。
またユーザー側はどう考えて利用したらいいのか。
キャストはどんな働き方を選ぶべきなのか。
大変な問題は様々あるけれど、店としてはどんなブランディングで、どんな方針で、どんな発信をして、文化を作っていくのか、これは人生をかけてチャレンジする価値のある大仕事だなと、改めて感じています。