邦楽語り㉔

邦楽語り㉔

今日は、マルシィさんを聴いていました。

元気なときに選ぶ音楽では、たぶんありません。

かといって、完全に落ち込んでいるときに寄り添ってくれるわけでもない。

その中間。

自分の気分がどこにあるのか分からなくなったときに、自然と手が伸びる音楽です。

マルシィさんの曲を聴いていると、「大丈夫」とも言われないし、「頑張れ」とも言われません。

代わりに、「まあ、そうなるよな」と小さく肩をすくめられているような気がします。

その距離感が、少しだけ救いになります。

好きな曲は「雫」と「プラネタリウム」です。

「雫」は、感情を言葉にしてしまったが最後、何かが壊れてしまいそうな人の曲だと思っています。

だからこそ、泣く一歩手前で立ち止まっている。

その不器用さが、どうしようもなく人間らしくて、聴いていて胸の奥が重くなります。

「プラネタリウム」は、きれいなものを見ているはずなのに、なぜか少しだけ虚しい曲です。

誰かと一緒にいた記憶も、決して悪いものではなかったはずなのに、今となっては、自分の手の中には何も残っていない。

そんな事実だけを、静かに突きつけられる感じがします。

マルシィさんの音楽は、過去を美しい思い出にしてくれません。

かといって、過去を否定もしません。

ただ、「あの頃の自分も、確かにそこにいた」と事実だけを置いていくような気がします。

それを受け止められるほど、自分が大人かと言われると、正直よく分かりません。

それでも今日は、マルシィさんの曲を聴いている時間が、一日の中でいちばん静かでした。

静かすぎて、少し、自分のことを考えてしまいましたが。

FIRST CLASS
伊丹夕季(いたみゆうき)