追いつかない好き

追いつかない好き

最近、「好きなものが多すぎるな」と思うことが増えました。

音楽が好き。

映画が好き。

甘いものが好き。

猫が好き。

お香が好き。

旅行が好き。

嬉しいはずなのに、なぜか全部をちゃんと受け止めきれていない感覚もあって、少しだけもったいないなと思うことがあります。

前は、一つのものにしっかり時間をかけて向き合えていた気がするのに、今は「あとでちゃんと聴こう」「またゆっくり見よう」と後回しにして、
そのまま次の“好き”がやってきてしまう。

贅沢な悩みなのは分かっているけど、追いつけていない自分に気づくと、少しだけ焦る気持ちも生まれます。

それでも、こうして好きが増えていくのは、ちゃんと生活をしている証拠なんだと思うようにしています。

感度が鈍っていないというか、まだちゃんと心が動いているというか。

全部を完璧に拾えなくても、今はこの“溢れている感じ”ごと大事にしておきたいです。

いつか余白ができたときに、またひとつずつ立ち止まって、ちゃんと向き合えたらいいなと思います。

FIRST CLASS
伊丹夕季(いたみゆうき)