名前のない怪物

名前のない怪物

「フランケンシュタイン」って名前は、誰でも一度は聞いたことがあると思う。

怪物が暴れるホラー作品、というイメージが強いけれど、
実はこの物語は“孤独”と“拒絶”を描いた、かなり深い作品だ。

僕は原作を読んだことがなかったけれど、
Netflixでたまたま見つけて再生してみた。

……のだが、前半の描写が予想以上にエグくて、
夕食に豚丼を作って観たことを心底後悔した。

物語は、科学者が長年の研究の末に
ひとつの生命をつくり出してしまうところから始まる。

想像以上の存在を前にした科学者は、
恐怖に押され、怪物を受け入れられずに拒絶してしまう。

居場所を失った怪物は、
「自分は誰にも望まれていないのか」
という思いを抱えたまま、孤独を深めていく。

その孤独はやがて憎しみへと変わり、
怪物は自分を見捨てた創造者を追い詰めていく——
という、なんとも皮肉で残酷な構図になっていく。

フランケンシュタインは科学者の名前で、
怪物には名前すらない。
“名を与えられない存在”という象徴でもある。

この物語が今も語り継がれる理由は、
AIや科学技術の進歩が加速する現代にも
そのまま刺さるテーマを持っているからだと思う。

人って、扱われ方ひとつで優しくも冷たくもなる。
愛情や接し方がどれほど大きな影響を持つか、
あらためて考えさせられる作品だった。

…これは、ご飯を食べながら観ちゃダメ。

FIRST CLASS
松風 慎二