日本語って面白いなと思うのが、「ありがとう」と「すみません」の境目がすごく曖昧なところです。
誰かがドアを押さえてくれた時、落としたものを拾ってもらった時、コーヒーをこぼして片付けを手伝ってもらった時。
英語ならどれも“Thank you”で済むところを、僕たちは迷うんですよね。
「ありがとう」だと、少し軽い気がして。
「すみません」だと、なんだか他人行儀過ぎる。
そのどちらの言葉にも、自分の気持ちをちゃんと置けない瞬間があります。
僕はもともと「すみません」を多用するタイプで、
お礼も、お願いも、謝罪も、全部「すみません」で済ませてしまうことが多いです。
便利なんですよね、この言葉。
相手を立てながら、自分の気持ちを少し引いて伝えられる。
けれど、それだけに、肝心な“ありがとう”がちゃんと届かない気もするんです。
この前、先輩が重い荷物を運ぶのを手伝ってくれた時に、
無意識で「すみません!」と言ったら、先輩は笑いながら「そういう時はありがとうでいいよ」と返してくれて。
その時に少しハッとしました。
自分が恐縮しているようで、相手の親切を半歩遠ざけていたのかもしれないなって。
それ以来、できるだけ「ありがとう」を選ぶようにしています。
同じ出来事でも、感謝の言葉で返した方が、不思議と気持ちが明るくなるんです。
相手も少し笑ってくれるし、自分もその空気の中で優しくなれる。
言葉一つで、世界の色が変わる。
それなら、できるだけ柔らかい色を選びたいですね。
FIRST CLASS
伊丹 夕季(いたみ ゆうき)