人は忘れる生き物だということ。
心が破れるような思いも、歳を重ねれば痛みに慣れ、平気なフリが上手くなった。
ある時、気付きました。
忘れるというのは、心が自分を守ろうとする反応なんだって。
無理に思い出さなくてもいい、泣いた夜も、悔しかった出来事も、ちゃんと意味があったことを心の奥で感じられればそれでいいんです。
思い出の中に留まるより、少しでも前を向く方が難しい。でも、いつの間にか笑えている瞬間がある。
あの時は死にたいと思うほど苦しかったはずなのに、今の自分はちゃんと息をしている。
それが生きるということなんだと思う。
人は忘れる生き物だからこそ、また誰かを信じられる。また笑えるし、また恋をする。悲しみの続きを生きるのではなく、その先を越えて生きていける。
忘れることは、前を向くための始まり。
今日も少しだけ、新しい自分でいたいと思える。そんな朝の始まり。
FIRST CLASS
夏川 智希