冬の夜って、いつもの街が少し別の場所みたいに感じる瞬間があります。
空気がきゅっと冷えて、歩くたびに靴の音だけが小さく響いて、まるで世界の音量が少し下がったみたいです。
仕事の帰り道、ふと立ち止まると、ネオンの光も車の音も、全部がやわらかく見えて、「こんなに静かな時間、久しぶりかもしれない」と思いました。
忙しい時期に入ると、気持ちも予定も常に前のめりになってしまいがちですが、冬の夜のこの“静けさ”だけは、勝手に足をゆるめてくれる気がします。
最近は、寒さに震えながらも、その静けさが少し好きで、夜道を歩く時間がちょっとした息抜きになっています。
FIRST CLASS
伊丹夕季(いたみゆうき)