音楽を聴きながらの帰り道。
シャッフル機能でSUPER BEAVERの「27」という曲が流れてきた。
この曲をステージで弾いたのは19歳の冬。
初めてのステージで、その日も今日と同じ9℃
寒くなってきてたけど、狭いライブハウスの空気は熱くて、アンプのハウリングが心を踊らせていました。
当時の僕は、一人暮らしを始めて「もう大人になった」と思い込んでいました。家族ともうまくいっていない時期で、色々な想いからこの曲を選んだ記憶があります。
でも今思えば、あの頃の「自立」はただの形だけで、本当の意味では大人になんてなれていませんでした。
「ロックスターは死んだ、まだ僕は生きてる」
あの歌詞を聴いた時は、ただただ「カッコいい」って思って。
でも、27歳を過ぎた今その言葉がまるで自分への手紙みたいに響きました。
夢中で音を鳴らしていた日々も現実に追われる今の自分も、どちらも確かに「生きてる」
音を噛むように毎日ギターを触っていたあの頃の情熱とギターに触る時間が少なくなった今の静けさが混ざり合う。
母が僕を産んだ歳を超えて、父に似た自分を知って、そんな現実が少し苦くて、でもどこか優しい味がしたんです。
音楽って、時々残酷なほど正直。
でもだからこそ、今もこうして「まだ僕は生きてる」って思える。
FIRST CLASS
夏川 智希