メモ帳の正体不明な住人たち

メモ帳の正体不明な住人たち

スマホのメモ帳って、たまに見返すと自分でも意味がわからない文章が眠っています。

先日ふと開いてみたら、
一番上に「牛乳 傘 勇気」って書いてあって、もうその時点で不安。
買い物リストなのか、ポエムのタイトルなのか、単語の並びから何を目指していたのか全く思い出せません。

さらにスクロールすると、
「明日の自分へ:忘れるな」
とだけ書かれたページがあって、肝心の“何を忘れたらあかんのか”がどこにも書いてない。

未来の自分に託す姿勢だけはやたら強いのに、内容がゼロなのが逆に怖い。

極めつけは、「カレーは裏切らない」
という、情熱だけ書き残して逃げたような一文。

たしかに裏切らないけど、どんな状況で自分はそんな宣言をしたんでしょうね。

メモ帳って、寝ぼけて書いたひらめきとか、仕事中の途中経過とか、日々の自分の“破片”がそのまま残ってる気がします。

意味不明でも、ちょっと笑える。
そして、“このときの自分、意外と必死やったんやな”と愛着も湧いてくる。

たまにはメモ帳を掃除しつつ、
消すのが惜しい謎メモは、そっと残しておこうと思います。

FIRST CLASS
伊丹夕季(いたみゆうき)