『閑』

『閑』

季節はもう春に向かっている。
空が一気に晴れ渡る日もあれば、
急に風が強くなり、
雨が降りしきる日もある。

同じ一日でも、
空の表情も、
気温も、
めまぐるしく変わる。

気づけば、
心もどこか似ている。

余裕を持ちたいと思っているのに、
何かに追われる。
静かでいたいのに、
ふとしたことで感情が揺れる。

心まで、春の気候のよう。

ふと、閑静な一本道に入る。

「閑」

閑散、ひま、しずけさ。
その次元には余白が見える。

風が吹いても、
雨が降っても、
その中に
静かな無を持っていられること。

世界の変化に
すべてを持っていかれないこと。

そんな在り方を、
この一文字は教えている気がする。

忙しさの中にも、
心のどこかに小さな「閑」を置く。

春の空のように揺れながらも、
その余白だけは、
静かに残しておきたいと思う。