『聞けば都』

『聞けば都』

人は、つい自分のことを話したくなる。
自分のことを誰かに聞いてもらえる時間って、
実はちょっとした快楽だ。

でも、相手の話を聞きながら、
その声の調子や表情が少し柔らかくなる瞬間を見るのも、
それ以上に嬉しい。

だから僕は、
その人が話したくなる空気を
そっと残しておきたいと思っている。
急かさずに、
静かに耳を傾ける。

話すことで相手が軽くなるなら、
聞くことは、それを受け止める喜び。
その話す快楽を感じてもらうことが、
僕なりのささやかな幸せでもある。

「聞けば都」
話す場所を探すより、
誰かの話を静かに聞ける余裕を持ちたい。
それが、
僕という人間にはちょうどいい。