『糸』

『糸』

糸と聞いて、
何を思い浮かべるだろう。

赤い糸。
縫い合わせる糸。
それとも、
どこかとどこかを静かにつなぐ、
目には見えない糸。

糸というものは、
つながりの象徴だと思う。

人と人。
過去と今。
組織への帰属意識。

目に見えようが見えまいが、
糸は気づけば確かに
何かを結びつけている。

何かを失う。
それは、糸が切れたような感覚。

それまで確かに続いていたものが、
ふとした拍子に途切れる。
糸は、
張りすぎてもいけないし、
緩みすぎても形を保てない。

糸が切れる瞬間は、
どこか寂しい。

けれど同時に、
新しい糸を手に取る余白でもある。

つながりとは、
永遠に続くものだけじゃない。

ときには、
切れることもまた
次の縫い目の始まりになる。

新しい糸の結び目をつける。

どこかでまた切れてしまうかもしれない。

それでも、
その一本の糸で
新しい扉を開こうとしている自分がいる。