『ベストを探る』

『ベストを探る』

昔の自分は、
もう少し速く動けた気がする。
もう少し無茶がきいたし、
考えるより先に体が動いていた。

でも、今は違う。
勢いだけで突っ走るより、
一歩引いて考えるようになった。
それを「衰え」と呼ぶ人もいるけれど、
僕はそうは思わない。

年齢を重ねると、
使うエネルギーの質が変わっていく。
無理をしないための慎重さ。
先を読むための余裕。
それは、若い頃にはなかった力だ。

だからこそ、
「昔のベスト」に執着してはいけない。
若い頃は勢いでどうにかできたことも、
今は勢いを抑えて進める方がうまくいく。
その慎重さを、
勢いの代わりに戦略として使えばいい。
変化を受け入れて、
その都度、最適なやり方を探ること。
それが生きるうえでの柔軟さだと思う。

ベストは一定じゃない。
生きていく限り、変わり続ける。
その時々の自分に合った
「最適」を更新し続けること。
それが、大人の成熟だと思う。