季節の入口で

季節の入口で

最近、朝の空気が少しだけ冷たくなりましたね。
まだ冬の入口にも立っていないのに、手の甲に触れる風だけ先に季節を知っているみたいで、布団から顔を出した瞬間に「あ、そろそろだな」と思います。

外に出ると、街はいつもより静かに見えます。
冷えた空気が音を吸い込んでしまうのか、車の音も人の足音も、どこか控えめに聴こえます。

温かいコーヒーを片手に歩くと、白く曇った息が思ったより長く残って、それがなんだか自分の存在を確かめてくれるような気がしました。

夏の朝は「始まるぞ」という明るさがあるけれど、
この季節の朝は「一緒にゆっくり行こうよ」と囁くような静けさがあります。

慌ただしい日々の中で、こんな小さな変化に気づける自分でいたいなと思いました。

明日も、ほどよく頑張れますように。

FIRST CLASS
伊丹 夕季(いたみ ゆうき)